アメリカの3つの銀行の破綻。
金融不安の始まり?
この2か月余りで3つの銀行が破綻しました。①シリコンバレー銀行②シグネチャー銀行③ファースト・リパブリック銀行です。この3番目のファーストリパブリック銀行はアメリカの金融破綻としては史上2番目の規模だそうです。ただ破綻と併せてこの銀行の預金と資産はJPモルガン・チェース銀行が買収し、JPモルガン・チェース銀行の店舗として再開するそうです。ですので大きな混乱はなさそうですが、これだけ金融が破綻していくと心配です。
金融破綻の背景は、コロナによるインフレ抑制のため、FRB(連邦準備制度理事会)が続けてきた急速な利上げの影響で、保有していた債権の価格が下落し、債権の売却で損失がでたことがSNSで広まり預金の引き出しが相次ぎました。結局銀行の破綻は預金の引き出しですから、これは前もって準備していた政府がJPモルガン・チェースと話し合いを進めていたことが功を奏したというわけです。
しかしこの金融破綻の波は大西洋にも及びスイスでも同じようなことが起こりそうになったのをスイス中央銀行の仲介で最大手のUBSの救済買収で難を逃れました。
アメリカの金融破綻が続いていくと必ず日本にも飛び火します。日本の預金保護は1000万までです。もし破綻のうわさが広がれば一気に引き出し銀行が破綻するということが起きます。2か月で3つということは異常な状態です。これがもし日本ならと汗がでますよね。
つぶれない会社
私が考えるつぶれない会社とは、企業理念やコンセプトが明確な会社です。業態の軸がしっかりしている企業です。例えばトヨタです。トヨタは人づくりの企業、ということを明確に打ち出しています。人が困難を回避させ、人が業態の変化を生み出します。
世界の車販売数はトヨタがNO1です。しかしそれがどの国もピンと来ていないのは、流れがEVにシフトしてるからです。中国市場でのEV車のトヨタの割合は少ないです。日本企業のEV車戦略の遅れが中国13億人市場に影響しています。しかしこれもきっとトヨタで培った人が打開していくのでしょう。危機的状況も解決するのは人なんです。
スターバックスも明確です。スターバックスはサードプレイスというコンセプトの基営業しています。スタバが好立地の上に、ドトールに比べて店舗内作業人員も多いです。つまり家賃や光熱費、人件費という面でドトールよりも上回っています。その上でスタバの収益がいい理由は、来店頻度です。スタバの客単価はしれています。しかし一人のお客様が朝、昼、夜と3杯珈琲を飲みに来てくれれば1人で1500円以上払うことになります。しかもフードコストに比べて原価率が圧倒的にいいので儲かるわけです。この来店頻度にこだわりがあるから、個人客向けの裏メニューがあったり、店内で何時間いてもいいし、電気も差し込んで使える、などこれらのカフェサービスをどこよりも早くできたわけです。こういう観点でコンセプトや理念を中心に企業を見ていくと納得できることはたくさんあります。この来店頻度には、全体での考え方が必要です。スタバが直営の理由もそれです。FC化せずに全店直営だと1人がA店、B店、C店と3つの店舗を回っても1エリアで見れば客単価は上がります。しかしC店だけFC店となると2店舗が直営なので客単価は下がります。ニトリが目指しているチェーンストア理論の多店舗のすべてを自前で営業(店舗開発、メニュー、宣伝、物流など)すべての経費を削減する方法を世界規模でやっているわけです。
学生さんから見る企業に求めるもの
ある学生さんの話です。彼女は、アルバイト先の女将さんのようになりたい、と言っていました。その女将さんはおおらかで、忙しくても忙しさのそぶりも見せずいつも冷静にお客様の対応や従業員への指示をきちんとしている、そうです。彼女なりにその理由を考えると20代でがむしゃらに働いている人はそういう素敵な人になっていると分析したそうです。だから彼女の企業に求めるものはある程度の競争をさせてくれるところだそうです。競争が自分の成長を促す最も早い方法です、とも言っています。
こういう学生さんはうまくいきます。明確だからです。自分の就職の軸がはっきりしているからとる側も安心できます。就職の軸が明確な人は雰囲気に毅然さが出ます。だから彼女は内定をいただいた後にきっぱりとお断りする企業も明確です。それに対してとってつけた軸の人が多いです。口では成長と言いながら、内心は福利厚生や休日のことばかりを考えています。そういう学生は見透かされます。雰囲気に毅然さがありません。福利厚生は大事ですが、企業の儲けが減少したら一番にカットされていくところです。いつ消えてもおかしくないような経費に重きをおくよりも、企業が残してきたものを意識した方がいいでしょう。企業のレガシーこそがその企業の未来を作ります。それが福利厚生につながるんですよ。現在よりも過去。過去が未来を作ります。
≪斎藤塾長のプロが指南の就活の極意≫