富士フイルムとコダック。繁栄と衰退

みなさん~、こんにちはー。大阪の就活塾、内定コーチング関西校です。

生き残りをかけた戦略。企業は従業員の資質で決まる。

コダックという会社は1880年創業し、20世紀には写真フィルムで世界最大の企業に成長しました。しかし時代の流れと共に2012年倒産しています。かたや富士フイルムは1934年に創業している長寿企業です。この2社はよく比較されますが、就活生が何を意識して企業選びをするのかを一つの目安と考えてください。この2つの会社には生き残りがいかに大変かを表す事例でもあります。簡単にいうと企業は経営者で存続が大きく分かれます。企業選びの基準の一つとして経営陣がどういう経営陣かを調べておく必要はあります。経営陣の経歴は本当に大事です。

コダックの破綻原因コダックと富士フイルムの事業多角化両社の多角化の違い就活生の見極め

コダックの破綻の要因

コダックは

コダックの経営責任者は一番の転換期である1993年~2000年までは元モトローラ社のCEO、M・Cフィッシャー、2000年~2005年は生え抜きのA・コープ氏、2005年~最後の2012年はヒューレットパッカードのM・ペレス氏が率いました。デジタルカメラの出現でフィルムの需要はなくなります。しかし1990年代はまだフィルムが残りますが、最終的にフィルムに止めを刺す要因は携帯電話のカメラです。携帯電話にカメラが付き、画質も上がったことはカメラそのものの需要を大幅に減らしました。

コダックはどこよりも早くデジタルカメラに移行しています。デジタル映像の特許権は1000件以上に上ります。フィルムを捨てていち早くデジタルカメラに集中していたのです。コダックはカメラを安価で提供し、フィルムで収益を上げていきましたが、デジタルカメラではカメラ本体で収益を上げていかないといけません。1990年後半には、アメリカでのデジタルカメラのシェアはソニーに次いで30%ありましたが、2002年には10%ほどに落ち込みました。製品で差別化ができませんでした。

さらに消耗品の戦略を立てていきます。ネットワークと消耗品の融合です。デジカメのデータをネットで管理し、DPE店で印刷できるようにしたり、DPE店にセルフ端末を置いてCDに焼き付けて家のパソコンで楽しめるようにもしました。つまりはDPE店に足を運んでもらってそこでお金を落としてもらうサービスの普及をしていったわけです。

かたや富士フイルムは

デジタルカメラ本体で圧倒的な差を作ろうとしました。1998年に[Finepix700]という機種を投入し、高画質、高性能でしかも軽いというデジカメを10万を切る価格で販売しました。日本国内でシェア30%を確立しました。その後もFinepixシリーズを当入し世界市場でも一気に20%とりました。あくまでも製品にこだわり、本体、レンズ、撮像素子の3要素を持つメーカーに上っていきました。

富士フイルムが成長していったのは実は「写ルンです」です。写ルンですは、安価で誰でも簡単に写真が撮れます。しかもそのカメラ本体を持ち込んで現像できるという当時では簡単に写真が撮れる画期的な商品です。1990年、世界のフィルムシェアはコダックが60%、富士フイルムが15%でした。それが1986年に写ルンです、が市場に投入され2000年にはコダックが38%、富士フイルムが35%。2001に年は逆転しました。富士フイルムは製品に関しては妥協しない作り方を貫いているのです。

コダックと富士フイルムの事業多角化

コダックの事業多角化

コダックは1990年当時は世界No1のフィルムブランドです。そのために価格が比べても20%の割高になっています。そういう意味でも下降している産業では価格面での差が後の競争に大きく出ます。コダックも手をこまねいていたわけではありません。事業多角化を進めていました。プリンター、スキャナー、システム、ソフトウェアを開発し、がん治療薬の開発やインクジェットプリンター、フォトCDなどの企業も買収し傘下に収めています。企業の成長には多角化絶対に必要です。そういう面でもコダックは様々な分野に手を拡げ、技術的にも今思えば、素晴らしいものを作ったりしています。しかし問題は、世界ブランドというプライドです。コダックの売り上げで考えると、1990年からデジタルカメラの普及が始まっているにも関わらず、フィルム他の事業の売り上げが、フィルム事業の売り上げを超えるのが2006年からになります。多角化をはじめ、デジタルカメラも生産しているにもかかわらず、フィルム以外の事業が伸びなかったのです。

富士フイルムも事業多角化をすすめていきます。

カメラに力を入れシェアを拡大していきます。そして大きな転換期は2001年のゼロックス社との合弁会社富士ゼロックスを完全子会社にしたことです。これによりドキュメントソリューション事業が新たな事業の柱になり、一気に9600億円の売り上げ増になります。さらにフィルム技術を活かして化粧品、サプリメント、2008年には富山化学工業を買収し医療分野への拡大を進めていきます。富士フィルムはフィルム事業と他の事業との売り上げ構成は1990年からどんどん変更していき1990年だ後半には1:1になり、2001年の子会社化で一気にフィルム他の事業がフィルム事業を大きく上回りました。さらに2001年当時、内部留保が1兆5000億あり、1600億円でゼロックス社から買い取っても全く痛くない買い物です。

富士フイルムもコダックも多角化は進めていたが大きな要因の違い

社風の差が勢いの差になります。

コダックは多角化を進めていきますが、どれもフィルムを上回るような事業に成長しませんでした1993年~2000年までのCEO、M・Cフィッシャー氏は退任したのちコダック時代のことを「惰性」特に、「認知的惰性との戦い」と評しています。フィッシャー氏はビジョンや方向性はきちんと進めていました。ある意味どこのフィルム会社よりも早くに方向性を変更していきました。富士フイルムもその後を追って行ったのです。しかし、問題はミドル層が動かなかったということです。長年世界でトップの企業です。社内もその傲慢さと、フィルムのプライドがあります。それをいくら他所からきた経営者に言われてもなかなか心が動きません。それに対して富士フイルムは、社長の在籍期間が平均11年と長期の経営陣です。しかも長年、追いかけている企業です。わずか1%のシェアの拡大のために必死になって攻めてきた会社なので、トップ企業が弱まると一気に攻勢をかけていける社風なのです。

顧客ニーズの捉え方の違いが大きな分かれ道

コダックはNO1という意識が高いので、写真フィルムの市場の変化をいち早く察知はしていたけれどもそれをフィルム事業としての多角化を考え、フィルムからなかなか抜け出せなかったのです。フィルムと関連した事業に手を広げたことでどんどん社員のフィルム依存度が高まったと言えるでしょう。新事業もフィルムありきになっていたのです。だから売り上げ構成も2005年まではフィルムに依存した構成になっています。他事業がフィルムの売り上げを逆転したと言っても、それは他事業が伸びたのではなく、フィルム事業が縮んだのです。

富士フイルムはフィルム以外に活路を見出します。高い技術力でカメラに力を注ぎます。これはコダックも同様でした。このカメラ事業は競争相手が家電メーカーも含まれますから、コダックのようにいくら高い技術力を持ってしてもすぐに追いつき追い越されます。だからフィルムの技術を活かした製品を作るようにしていきます。それが富士ゼロックスのドキュメントソリューションであり、さらにサプリメントなどの健康。そして医薬品と発展していきます。つまり技術を応用していくのです。この発展する技術力が、空気を変えます。富士フイルムの転換点は2001年です。富士ゼロックスの子会社化がフィルム事業の縮小への舵を完全に切りました。衰退と繁栄は紙一重です。ある意味事業の柱にこだわってこだわって流れを引き寄せる場合と、切り捨てて別事業で発展していく場合とその2つの見極めは本当にむつかしいです。

就活生はどう見極めればいいでしょうか?

まずはインターンに早めに参加することです。大学3回生からは正直難しいので、1回生から気になる企業のインターンには参加しておいた方がいいです。そしてその企業の風土を体験しておくことです。その上で企業研究を進めてください。インターンはお互いが見極める方法です。相手も自分を見ているが、自分もきちんと企業を見ていきましょう。

仮に2000年に両社を就活して、10年後潰れているか、発展しているかなんてわかりません。ただ言えることはコダックは従業員が変われなかった。富士フイルムは従業員が一丸となって新規事業に取り組んで風が舞い込んできたということです。企業は人の集まりです。就活に複数決まる学生は、「人のために役に立てることを喜ぶ人たちばかり」です。人のために頑張れる人は必ず上手く行きます。そういう人の集まりかどうかは接触しないとわかりません。その上で自分が人のお役に立つことを喜んでいけるような活動を学生のうちにしておきましょう。

何度も何度も書いていますが、就活で決まる学生は社風に合っている人です。社風の見極めが内定への一番の近道です。社風がわかることで、この質問はこの会社ならこう返す、別の会社ならこう返す、と返答の差もわかります。これからの就活はサラリーマンではなくビジネスマンを欲します。結果にコミットできる行動を意識していきましょう。

≪斎藤塾長のプロが指南の就活の極意≫

https://www.sankei.com/premium/topics/premium-31847-t1.ht

 

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